最新放射線治療装置(リニアック)のご紹介

最新放射線治療装置

当院では、平成12年12月より放射線治療装置を設置し診療を行っていましたが、平成26年4月より更新工事に入り、診療を休止していました。放射線治療装置は、高精度になればなるほど、安全管理や確認に複雑な作業が必要となるため、約9ヶ月間という長期の準備期間を設け、患者さんにはご迷惑をおかけしておりましたが、平成27年1月より、新装置が稼動しています。

「ピンポイント照射」が可能になります

治療装置にCT機能が搭載されており、治療の際に実際に腫瘍の位置をそのCTで確認しながら照射することができるようになりました。
大線量の放射線を照射すると、どんな腫瘍でもほぼ死滅しますが、全ての腫瘍を治しきれない原因は、近くにある臓器にも同じ線量が照射されてしまうと、その臓器も破壊されてしまうからです。近くにある重要な臓器にできるだけ放射線が当たらないようにすれば、治療効果が期待できます。
従来の治療法でも、CTにより精密に放射線治療の計算をすることは可能でしたが、毎回の治療は、皮膚につけたマーカーをもとに行います。その分、少なくとも5㎜程度の誤差が常に生じる可能性があり、しっかり治療するためには、その分も余裕をもって広めに放射線を当てなければなりませんでした。最新装置では、毎回治療姿勢のままCTを撮像して照射するため、腫瘍に狙いを定めた精度の高い放射線治療が可能になります。
例えば、前立腺がんは直腸と近接しているため、従来の治療法では直腸のダメージが大きかったものが、最新装置では比較的副作用が少なく治療できます。
肺や肝臓の腫瘍についても、呼吸移動により外れないようにするため、広めに放射線を当てなければならず、肺炎などの副作用のリスクが高く治療が困難でしたが、治療直前・治療中の腫瘍の位置の把握が可能となり、さらに、呼吸移動にも対応して狙いを定めることができるようになります。

治療時間が短縮されます

これまでも当院で治療を行ってきた肺がん、乳がん等の患者さんや、様々ながんの骨転移・脳転移等の患者さんに対し、高精度の治療が短時間でできるようになります。旧装置では、1回あたりの治療時間は20分近く要していましたが、最新装置では1回あたりは5分~10分で治療が終了します。