放射線科では、各診療科から依頼を受けて画像検査を行っています。
乳がん検診で要精査になった場合、CT・MRI・放射線治療・RIの様々な装置を用いて、
検査から治療まで乳腺疾患の患者さんをサポートしています。 医師・看護師・放射線技師等がチームとなり、安心して検査・治療を受けていただけるように心がけています。

マンモグラフィ検査は、触ることができない微小石灰化や乳腺全体の状態を把握することができるため、早期発見に有効です。
また、当院のマンモグラフィ検査はすべて女性技師が対応しています。

当院では、トモシンセシス技術を搭載したマンモグラフィ装置が導入されており、一度の圧迫で、通常撮影とトモシンセシスの撮影が可能です。
トモシンセシスとは、乳房を複数の角度から撮影し、収集した画像データを3次元的に再構成する最新技術です。
この技術によって、CTやMRIのような約1mm間隔の断層像が得られ、従来のマンモグラフィ画像では乳腺組織に重なっていた病変も見つけ出しやすくなり、より正確な診断につながっています。

果物を半分に切るより、1㎜ごとに薄く切った方が中身の状態がより分かりやすいのと同様に、トモシンセシスは乳房を1㎜にスライスした断層画像であるため、重なった乳腺組織の情報をより得ることができます。

当院の認定について

当院は、「マンモグラフィ検診施設画像認定」を取得しています。マンモグラフィ検診施設画像認定とは、NPO法人日本乳がん検診精度管理中央機構(以下精中機構)が実際に撮影された画像・撮影に要した線量などを評価し、検診マンモグラフィを行う施設として基準を満たしていると認めたものです。また、精中機構の検診マンモグラフィ読影認定を取得した読影医師、検診マンモグラフィ撮影認定を取得した放射線技師が業務に従事しております。

乳房内の乳がんの広がりを
評価することができます。

乳がんの手術形式が乳房切除術から乳房温存術へと変化してきたことに対応して、手術前に「乳がんの広がり診断」をMRIで行っています。MRI造影検査では、乳がんの位置や形・乳管に沿った広がりを詳細に描出できるので、切除範囲の決定に有用です。

撮影体位に
ついて

乳房MRI検査は、「乳房専用コイル」を用いてうつ伏せで撮像することが推奨されています。この体勢は、呼吸運動を抑制し、画質の劣化を防ぐことができます。さらに、乳腺が下垂し歪曲なく進展されるため、乳管に沿って広がる病変の観察が容易となります。また、「両側乳房の同時撮影」が有用であり、乳房専用コイルを用いることで、高い空間分解能を保ちながら撮像することができます。

当院は、最新の320列検出器CTを導入しており、乳がんの術前診断や術後の再発チェックを行っています。この320列CTは高い空間分解能を有し、短時間で広範囲をより鮮明に撮影することが可能です。また、乳がんだけでなく、リンパ節や肺・肝臓・骨などの転移についても同様に評価できます。

乳がんの大きさや
範囲の評価、
他臓器への
広がりの有無を
調べます。

骨転移は、固形腫瘍のなかで乳癌が最多であり、約65~75%を占めています。
骨転移そのものは生命にかかわる病態ではないとされていますが、骨折、疼痛等が生じて、生活の質(QOL)が著しく低下することが大きな問題となるため、適切な対応が必要とされます。(1)
当院では、骨転移の診断に核医学検査の一つである『骨シンチグラフィ』が行われています。乳癌の治療前に骨転移がないかの確認、乳癌の治療中の方に骨転移がないかの確認を行う他、骨転移のある方の治療前後で治療効果の判定も行っています。
(1) 佐伯俊昭:乳がん骨転移.癌と化学療法2006;33:1054-4057

(図1) 骨シンチグラフィ 全身像
(図2) 骨シンチグラフィ SPECT画像

骨シンチグラフィについて

全身の骨に集まる特性を持った放射線同位元素を含む薬を静脈内に注射し、体内の骨組織から放出されるガンマ(γ)線を画像化する検査です。薬剤が骨に十分に集まってから検査を行うため、注射後、最低2~3時間必要です。空き時間の飲食・外出制限は特にありません。(図1)
また、当院では全身撮像に加え、体幹部は360度回転させるSPECT画像を追加しており、撮像には合計30分ほど要します。(図2)

放射線治療装置 (リニアック)

乳がん再発率の低下

乳房温存手術後は、再発防止のために標準治療として放射線治療を行います。

放射線を照射することで乳房内の再発率が低下し、生存率も改善することが分かっています。

また病期によりリンパ節領域に予防的な照射を行うことで、乳房切除を受けられた方でも、術後に再発予防の放射線治療が必要な場合があります。

乳房手術後放射線治療の線量分布

お仕事を続けながらの治療

放射線治療は、術後の乳房全体に25回(1日1回、平日毎日)を行います。

さらに当院では切除した腫瘍周囲の再発リスクを下げるために、部分的に5回の追加照射を行っています。体への負担は軽く、通院治療で行えます。

治療期間は6週間程度、1回の治療時間は10分くらいです。